受け入れ国の変更を検討する法人様が増えてきている
すでに外国人材の受け入れを行っている法人様の間で、「受け入れ国を変更する」という動きが、近年ますます顕著になってきているように感じます。
本来であれば、同じ国籍の人材で統一されていたほうが、マネジメントもスムーズに行いやすいものです。しかし、それでもあえて別の国からの受け入れを検討される背景には、以下のような理由があると考えられます。
① 優秀な人材が集まりにくくなってきた
国によっては数年前に比べ、「ぜひ採用したい」と思える人材の数が明らかに減少しています。
この主な原因として挙げられるのは、受け入れ国の経済発展による所得水準の上昇です。
日本で働かなくても、自国である程度の収入を得られるようになってきており、加えて昨今の円安傾向もその流れに拍車をかけています。
例えば、これまで主要な受け入れ国だったベトナムでは、優秀な人材が集まりづらくなっている現状があります。
「ネクストベトナム」とも言われるインドネシアも、受け入れ数は増加傾向にありますが、経済成長率は依然として高く、日本が選ばれ続けるためには、企業側にもより高い受け入れ体制や魅力づけが求められます。
② 定着率の低下
定着率の問題は、職場環境や待遇など法人側で改善すべき点も多くありますが、それに加えて「国籍による傾向の違い」も見逃せません。
特にミャンマーなどは、現地の政治・社会情勢の影響もあり、日本国内での転籍（特定活動への移行など）がしやすい状況となっており、数年かけて育成した人材が、他県や他業種へ移動してしまうケースが増えています。
たとえば、介護職として一定期間働いた方は、日本語スキルが高く、他業種（とくに外食産業など）からの引き合いも強いため、異業種への転籍が起こりやすくなっている印象です。
今後の受け入れ戦略に必要な視点
上記のような課題を踏まえると、今後は「人材が長く定着するかどうか」を見据えた受け入れ戦略が必要です。
そのためには、候補国の将来の経済動向や社会情勢なども含めて、慎重に検討することが求められます。
そして何より、その判断は“早ければ早いほど良い”ということは間違いありません。
外国人材の争奪戦に、遅れを取らないために
どの国から、どのような人材を受け入れるのか。
その選択が、今後の組織の安定と成長を大きく左右します。
今こそ、次の一手をしっかりと準備しておくことが重要です。
